あれから17年後


その頃、会場の受付では
晴子と桜木、そして安田が次々訪れる招待客の対応に追われていた。

晴子の振り袖姿を見るなり鼻血を噴き出した桜木は鼻に綿を詰めての接客だ。

彼女が男性の招待客と接する度に横からその客を睨み付け恐がらせている。

すでに記帳を済ませた客達は、披露宴の時間まで各々ラウンジで寛いでいた。

東京湾が一望出来る全面ガラス張りの窓。

見下ろすとフェリーが白い波を残して走って行く。

軽いアルコールが振る舞われ、早くもホロ酔い気味の桜木軍団。

調子に乗った高宮が賭けをしようと言い出した。

 「俺は1年以内に別れるに5000円!!」

 「じゃ、俺は半年に1000円だ」

 「俺も半年に500円、小遣い少ねーからよぉ」

野間と大楠も調子を合わせると「お前らいい加減にしろよ」と水戸に叱られる。

 「姐御、綺麗だろーなぁ
 リョーちんにゃ勿体ねーよ」

高宮が言うと皆、深く頷いた。

 「でもよ~
 リョーちんはスゲぇよ
 なかなか出来るもんじゃねーぜ」

水戸が続けると、やはり皆深く頷いた。


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