あれから17年後


一方、JR新横浜駅の新幹線ホームでは清田信長が上りの電車を待っている。

多忙な日々を送るMAKIスポーツの重役、牧紳一は出先から直接式場に向かう事になり、神宗一郎の出迎えは急きょ清田1人でする羽目になった。

半年前、関西の女性と所帯を持った神はそのままあちらに居を構えた。

苗字は変わっていないとは言え実質、婿養子に入ったも同然のいわゆるマスオさん状態。

神の親は「長男なのに」と、この結婚に猛反対したらしいが、本人がどうしても譲らず押し切ったと牧から聞いている。

確かに神には昔からそういう内に秘めた強さがあったなと清田が苦笑すると
黒い礼服の内ポケットでメールの着信音が鳴った。

間もなく到着するようだ。

神から教えられた車両番号まで移動していると、新幹線がホームに滑り込んで来た。

電車が起こした強い風が、相変わらず長い清田の髪を乱して行く。

ドアが開いてドングリ眼の神が荷物を担いで降りて来た。

 「神さーーぁん!!」

駆け寄る清田は一瞬、自分の目を疑う。

神の後ろから不機嫌そうに降りて来たのは、なんと福田吉兆。

 「…な、なんで!?!?」

絶句する清田。

するとまたその後ろから、大きな荷物を抱えた相田彦一が現れた。


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