あれから17年後


羽田の到着ロビーではフォーマルスーツに身を包んだ藤真健司が次々と更新される案内板を見上げでいた。

宮城と彩子の披露宴に出席する為に、花形透が転勤先の北海道から戻って来るのだ。

出口からスーツケースを引いて現れた花形は人混みから頭一つ飛び出している。

藤真はそれを直ぐに見つけると嬉しそうに駆け寄った。

 「お疲れさま
 元気だったか?」

 「ああ、この通りだ
 お前は?相変わらず忙しいんだろ?」

 「お互い様だろ」

 「そうだな」

久々の再会を喜ぶ2人。

 「しかし、どういうつもりなんだ?俺達まで招待されるなんて」

花形の疑問に藤真が笑顔で答える。

 「つまり、こーゆぅ事だろ?」

 「ん?」

 「木暮の話じゃ、ウチ以外に陵南や海南大の奴らも招待されてるらしい」

 「ますます解らんな」

花形は首を振る。

 「おそらくこの披露宴を同窓会みたいなものにしたかったんだろう」

 「同窓会?」

 「ああ、こんな事でも無ければ絶対に当時のメンバーが集まる機会なんかないからな」

 「まぁ、そう言われればそうだな」

 「実に彩子さんらしい演出だよ」

 「なるほど」

藤真の名推理に花形はすっかり納得したようだ。

そして2人は式場へ向かう為にTAXI乗り場へ歩いて行った。

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