そっと部屋を出ると、メディカは玄関へと向かった。

そして玄関のドアを開けると、そこには満天の星空が広がっていた。

夜風に揺れる木々と夏草がそよぐ音のみが聞こえる夜のパオズ山は、孫家の照明が消えた今、昼間の明るく爽やかなものとは違い深い闇に覆われている。

果てしなく広がる星空は何ものにも遮られることなく、そして人工の光にかき消されることもなく己の輝きのみを放ち光っている。

そんな自然のプラネタリウムを目の当たりにし

「うわー・・・。凄く綺麗・・・。」

と、メディカは瞳を輝かせながら、引き寄せられるように更に外へと足を進めるのだった。

まさに降る様な星空という表現がぴったりな夜空に感動しながら、メディカは胸の奥がツンと痛くなった。

昨日、トランクスと天体図観を眺めていた時間が甦る。

胸の高鳴りを感じながら、楽しくて満たされていたあの時間が昨日のことだが懐かしく思えた。

久し振りに訪れた胸のときめきだったが、こんなに早く片付けることになるとは思わず可笑しくもなり、寂しくもなる。

そう、結局は独りよがりだったのだ。

トランクスに少しでも恋心を抱いてしまった自分に呆れてしまう。

（何考えてるんだろ、あんな素敵な人に恋だなんて・・・。そうよね・・・少し憧れただけよね・・・。）

自分にそう言い聞かせる様に、瞬く星空を見上げながら寂しく心で呟いていると

「こんな時間にどうしたんですか？」

という声が背後から聞こえ、驚いて振り返ると、そこにはいつもの優しい笑みを湛えたトランクスが立っていた。