木々の間から零れ落ちる陽の光は少し弱まっており、陽が傾いてきたことが感じられる。

山の中の木々と滝から発せられるミストの効果だろう、暑さは感じられず湿った土の匂いと冷んやりとした空気が漂っていてとても心地が良い。

西の都では感じることの出来ない、自然によって造り出されるこの空気と景色をトランクスは全身で感じ、自身の中にある負の感情を追い払うことに集中していた。

そんなトランクスの姿を、メディカは離れた滝壺からそっと盗み見ていた。

木漏れ日が降り注ぐ中に佇んでいるトランクスの髪は木の陰から漏れる陽の光に照らされて銀色に光り、とても綺麗だった。

メディカはその光景に薄く微笑むと、これくらいの距離感がいいのだと自分に言い聞かせ、昨日の図書館での満たされた時間に自惚れ、欲を出し始めていた自分を戒めるのだった。

「ほら、メディカ先生！すっごく気持ちいいわよ！！」

「ホントに冷たくてキレイよお姉ちゃん！」

と、滝壺の水を掬うパンとブラが輝いた笑顔を向け、キラキラとした水がその手を伝う様子に、メディカもしゃがみ込むと滝壺へと片手を浸した。

「どう？メディカちゃん。ここの水飲んでも美味しいんだよ！」

そう言って悟天は、掬った水を口へと運んでいる。

冷んやりとした肌の中まで浸透してしまいそうな感触に、メディカは表情を綻ばせながら、大自然から注ぎこまれる水の流れに自らが抱えているトランクスへの想いを洗い流す様に、水の中で手をヒラヒラと泳がせるのだった。