その動揺を感知したのはメディカと手を繋いでいた悟天だった。

トランクスの方を見ると、親友はらしくない焦った表情を滲ませ

「パ、パンちゃん！？そんなことないさ！！こんな最高の場所に連れてきてもらって、嬉しいよ！なっ、ブラ！！」

と、オタオタと弁解している。

そして、そんな親友を見つめるメディカは寂しそうに瞳を揺らしていた。

悟天は２人のその様子に苦笑いを浮かべ、ブラは兄を睨む様に見据えると

（まったく・・・！）

と、心の中で大きく溜息を吐いた。

わざわざ昨日という１日を譲り、メディカとの距離を縮めてもらおうと画策したことが無駄だったことが腹立たしかった。それと同時に、あまりの不甲斐無さに呆れ果てた。

悟天がメディカと仲良くしている事にイラ立っているのだろう兄に、ブラは冷ややかな視線を送った後

「そうね！お姉ちゃん、悟天さんとパンちゃんにここに連れて来てもらったこと感謝しなくちゃね！」

と、悟天と手を繋いだままのメディカに笑顔を向けるのだった。

トランクスは向けられた妹の冷たい視線を感じながら、悟天の様に振舞えない自分の不器用さ、そして女の子になら誰にでもあの様に自然に振舞える悟天に嫉妬している自分が情けなかった。

滝壺の辺りで楽しそうにしている４人を遠くに見ながら、トランクスは１人、悟天への嫉妬とメディカへの募る想いでモヤモヤした心を少しでも落ち着かせ様と、頭上に広がる青々と生い茂る木々を見つめ、深く息を吐くのだった。