メディカが自分たちの組手を見たらどう思うのだろう。

普通の人間とは違う桁外れのパワーに恐怖したりしないだろうか・・・。

せっかく縮まった距離が、離れてしまうのではないかと臆病になっている自分がいた。

そんな複雑な心境で答えを探していると

「あ、機会があればの話しなので・・・。」

メディカが申し訳なさそうな笑顔をトランクスへと向けるのを

「えっ？！あ、よかったらまた見に来て下さい。ウチの最上階に部屋がありますから！」

と、慌てて答えると

「ホントですか！？今度トレーニングする時教えて下さい、観に行きます。」

と、嬉しそうに微笑むメディカに、トランクスは曖昧な笑顔を浮かべるのだった。

幼い頃は、この並外れたパワーが自慢であり、自分たちは特別だと思っていた。

しかし大人になるにつれ、この力を制御しなくてはいけないことが分かると、些か不便に感じるのであった。

父との組手を見た後の、彼女の反応を思うと寒くなる。
つい「見に来て下さい。」と言ってしまったことを後悔してしまう。

子供の頃の様に、何の躊躇いもなく人前で力を見せたり、舞空術を使えたらと思う。現在堂々と使えるのは秘書の前くらいだ。

メディカと話しをしながら帰路に着いたが、そのことが頭の中に居座ってしまい、せっかく２人きりだというのに、イマイチ話しに集中出来なかった。

そして、そんな上の空になっている様子のトランクスをメディカは並んで歩きながら感じると、密かに胸を痛ませるのだった。