図書館を出ると、暑い空気が全身に纏わり付いてきた。

その不快感に

「わぁー・・・暑い・・・。」

と、呟きながら顔をしかめるメディカに、トランクスはふっと笑みを漏した。

自分と話す時、常に敬語を使っているメディカが独り言とはいえ、普段の言葉を発しているのが新鮮に感じられた。

トランクスは暑さが残る風を感じながら、足を進めると

「帰りも歩きますか？」

と、後ろのメディカに尋ねた。

「いいですか？」

「いいですよ。たまには、こうして歩くのもいいもんですね。」

振り返り笑顔を見せるトランクスに

「よかった！私、歩くの好きなんです。歩くと身体だけじゃなくて、脳も活性化してとってもいいんですよ。」

「へぇ。メディカさんが言うと、説得力ありますね。」

「一応、医者ですから。」

と、にこりと微笑んでから

「だから、歩ける時はなるべく歩く様にしてるんです。きつい運動は苦手ですし・・・。」

と、苦笑いを浮かべた後

「そうだ、トランクスさんは時間がある時はトレーニングされてるんですよね？」

と尋ねられ、トランクスは一瞬答えに詰まった。が、

「そうですね・・・。父と組手と言って、格闘技の所謂相対稽古ですけど、それをしてますよ。一応心得はあるので。」

普通の人間とはかけ離れている、自分たちのトレーニング内容をぼかして答えると

「トランクスさんが格闘技されてるところ、一度見てみたいです！」

興味津々といった眼差しで見つめられ、トランクスの心は複雑な気持ちで覆われるのだった。