「私が、働く前から入院していた子で・・・新人で、いつも至らない私にもいつも『ありがとう』って言ってくれて・・・優しい子だったんです。」

メディカは思い出す様に、少し遠くを見つめながら話し始めた。

「一昨日、容体が悪化したんですけど、持ち直したので先生はまだ大丈夫だろうって・・・。でも、深夜になってまた容体が急変してしまって・・・。」

言葉を紡ぐメディカに、トランクスは眉を寄せた。彼女にとって辛い話しをこのまま続けさせていいものか・・・。

トランクスは迷いながらも、胸の内を一生懸命話そうとしている彼女の話しを遮ることは憚られ、隣でただ黙って話しを聞いていた。

「私・・・何も出来なくて・・・。病気や怪我で苦しんでいる人を助けたいって・・・そう思って、この仕事を選んだのに・・・。本当に無力で・・・。」

そう言って、ぎゅっと固く目を閉じるメディカに

「それはメディカさんの所為じゃないですよ！・・・冷たいと思われるでしょうけど・・・病気で亡くなったのは・・・それが、その子の運命だったんです・・・。」

こんな事を言えば、軽蔑されるかもしれないな・・・。そう思いながらも、言わずにはいられなかった。

誰かに殺されるなど、それで命が奪われることはドラゴンボールで生き返ることが出来る。
しかし、病や寿命での死はあらかじめ決められていることらしく、ドラゴンボールでは復活することは出来ない。

そう。産まれた時から寿命は決まっているのだ。

だから、親の所為でも、医者の所為でも、ましてやメディカの所為でもない。