（そうだよなぁ・・・。図書館だもんなぁ・・・。）

トランクスはフロアに置かれた丸テーブルに座り、適当に選んだ本を開きながら心の中で呟いた。

メディカと２人で図書館を巡る・・・。

そんな想像を巡らしていたが、まさかの別行動にトランクスは虚しい気持ちを目一杯込めて大きく溜息を吐いた。

人気のない４階フロアは、自分の溜息しか聞こえないくらい静まり返っていて、トランクスは椅子の背もたれにもたれると、辺りを見回した。

内装も新しくなった館内は、読書専用のテーブルや長椅子が設置されるなど、利用者の事を考えた優しいものになっている。

以前はフロアを圧迫する様に並べられていた本棚は、今は棚ごとに間隔が空けられ、窓からの自然光が多く入りフロアを明るくしていた。

（だいぶん変わったなぁ。まぁ、７年ぶりだしな・・・。）

学校の図書室の様な固い雰囲気だった図書館とは大きく変わった現在の館内を、トランクスはまじまじと眺めた。

そして本を閉じると椅子から立ち上がり、フロアをゆっくり見て回ることにした。

４階のこのフロアは数学や科学、機械工学、宇宙工学などの理系を中心とした本が集められている。

きっと理系を学ぶ学生だろう。そういう若者の姿しか見られず、人はまばらだ。

何を探すわけでもなく、ただ本棚を見て回っていたトランクスはある棚で足が止まった。

他の分厚い本たちに埋もれる様に並んだ厚みの無いその本には

『ブリーフ博士の科学理念』

と、祖父の名が記されており、トランクスは思わずその本へと手を伸ばしていた。