すると、初めてメディカの体はピクッと反応し、ゆっくりと顔を上げるのだった。

肩の辺りで、サラサラと髪が動くのを見つめながら

「どうしたんですか、こんな時間に・・・。」

と、メディカの顔を覗き込んだトランクスはギョッとした。

自分を見上げるメディカの目には涙が溢れている。

「ど、どうしたんですか？！」

トランクスは予想もしていなかった事にかなり動揺した。

「トランクスさん・・・？！」

メディカの方も突然現れたトランクスに驚いた様で、零れ落ちる涙の事など忘れた様に驚いている。

「いや、その・・・。キッチンに行こうとしてたんですけど、人の気配がしたので、誰かなぁと・・・。」

メディカだと分かっていたが、まさか泣いているとは思わず、ここに来た事を言い訳する様にあたふたしながら答えていたが、フッと俯いたメディカの姿にトランクスは冷静さを取り戻した。

「・・・あの・・・何かあったんですか？」

躊躇いながら尋ねてみると

「・・・すみません・・・。大丈夫です・・・！」

顔を上げ慌てた様に涙を拭うと、メディカは弱い笑顔をトランクスへと向けた。

そのあまり大丈夫とは言えない笑顔に、トランクスはメディカと目線を合わせながらしゃがみ込むと

「・・・俺でよかったら、話して下さい。」

努めて穏やかな口調で尋ねた。

青く澄んだ穏やかなその瞳に見つめられ、メディカは視線を下げると

「・・・分かってたし、覚悟は出来てた筈なんです・・・。」

と、少しの沈黙の後ポツリと呟いた。