ベーグルの最後の一口を食べ終え、メディカはフッと小さく息を吐き、憂鬱そうに白で統一されている休憩室をぼんやり眺めた。

待ちわびていた夏季休暇の日が決まったのは、１週間程前だった。

里帰りするつもりで父に電話をすると「帰って来るな。」と言われ、メディカが怒りとも何とも言えない思いを受話器越しにぶつけると

「休みの時にしか出来ないことがあるだろう。」

と、いう含みのある言葉が返ってきた。

父親でもあるが同じ医師として大先輩でもある人間の言葉に、メディカは納得するところもあり、強く反論も出来ず渋々父親の言うことに従うことにしたのだった。

マンションを退去させられ、他人の家で厄介になっていることを知っているにも関わらずそう言われ、他に行き場も無いメディカは、申し訳ない気持ちいっぱいで、夏季休暇中のことをブルマに相談すると

「全然いいわよー！むしろ大歓迎よ！！」

と、当然の様にブルマとブラは休暇中の滞在も快諾してくれた。

その場にべジータもトランクスも居なかったが、きっと彼等から不満が出ることはないだろう・・・。

メディカは３日程前のブルマたちとのやり取りを思い出し、深い溜息を吐いた。

あの火事さえなければ、あの一家に迷惑をかけることなどなかったし、休暇を１人、それなりに過していたのだろう。

そう思うと

（・・・変わっちゃったな・・・。）

と、胸の内で呟きながらも、メディカは変わり始めた生活環境に充たされ始めている自分に戸惑いを覚えるのだった。