そんな恋愛話しが飛び交う中

「それより、メディカはどうなのよ？ボーイフレンドはいないって言ってたけど。どう？イイ男見つかった？」

前に座る仲間の１人に尋ねられ、メディカは苦笑いしながら

「ううん。全然・・・。」

と、心のどこかで何か引っ掛かるものを感じつつ首を振るのだった。

「そうよねー。やっぱり、時間も休みも不規則だし、なかなか出会いがないわよねぇ・・・。コンパとか誘われても、行けやしないし！」

そう言って愚痴る仲間に同調しながら、メディカはざわざわと揺れ動く心に気付かないふりをするのだった。



楽しい会も解散となり、仲間たちと別れるとメディカはエアバイクに跨り帰路に着いた。

夜風を浴びながら走っていると、先程まで仲間たちと騒ぎ、上がっていた体温とテンションが徐々に下がって行くのを感じる。

「イイ男見つかった？」

そう聞かれた時、すぐにトランクスの顔が浮かんだのは、きっと仕方のないことだと自分に言い聞かせた。

どうもあの夜から、気付けばトランクスのことを考えてしまっている自分がいる。

男性に叱られたことなどなかったので、それが自分の中で強く印象に残ってしまったのだろうと思っていたが、数日経ってもトランクスのことを考えている自分に、メディカは戸惑い始めていた。

（・・・あんな恰好良い人が近くにいるんだもん。・・・仕方ないよね。）

そう苦笑いを浮かべると、メディカは土曜の夜ということもあり、いつもより交通量の多い道を、睡眠不足で重たい頭のまま慎重に走り抜けるのだった。