この事はあまり詮索して欲しくないところなので、メディカはこの話題を早く終わらせたかった。

まさか、元患者であるブラの・・・あのカプセルコーポレーション一家の家に世話になっているとは言えない・・・。

「何だ、それも違うの。」

残念そうに言うホスピに

「じゃあ当分そのお宅でお世話になるんだね。」

と尋ねられ

「いえっ！そういうわけにもいかないので、部屋は探してるんですけど・・・。」

困った様に苦笑いしながらメディカが即答すると

「病院が借りてるマンションはどうだった？事務局に聞いてみたかい？」

「あ、はい。今は全室埋まってるそうです・・・。」

西の都の病院の近くに建つ、２０階建のマンションの１階から５階の４０室を、病院が寮として借り上げていることを思い出し、事務局に聞きに行ったのは、無情な退去電話があった日の翌日のことだった。

「まぁ、あそこは皆なかなか出て行かないからねぇ。」

「みたいですね・・・。」

「でも・・・今のお宅で当分お世話になるのもいいんじゃないかい？」

「え・・・？」

ホスピは不思議そうに自分を見るメディカにニコリと微笑むと

「ま、慌てて部屋を探すこともないんじゃないかい？その時になったら、きっといい部屋が見つかるよ。じゃ、僕は帰るから。当直よろしく。」

と、嬉しそうに意味深な笑顔を向け、肩を揺らしながらホスピは医局を出て行くのだった。

「・・・はい。お疲れ様でした。」

メディカは向けられたホスピの笑顔に疑問符を浮かべながら、ただその背中を見送るのだった。