お互い自分の仕事に集中し、沈黙が続いた後

「うーん・・・よしと。それじゃ、僕は帰るとするよ。」

ホスピは椅子から立ち上がると、ひとつ伸びをしてメディカの方を見た。

「お疲れ様でした。」

ファイルから顔を上げたメディカを、ホスピはまたじっと見つめている。

不思議そうな顔をするメディカに

「ところで、メディカ君。あのマンションにまだ住んでるの？」

と、ホスピはのんびりとした口調で尋ねてきたのだった。

「へっ・・・？」

またもや不意を突く質問に、メディカは咄嗟に答えが出てこなかった。

ホスピは表情を変えず、メディカを見つめている。

「えっと・・・その・・・。あのマンションは建て替えが決まって、退去ということになったんです・・・。」

「えっ？！そうだったのかい。えらく急な話しだねぇ・・・。それじゃあ、今はどうしてるの？」

驚いた様で、珍しく張った声を上げるホスピに

「はい･・・急だったので、引っ越し先が見つからなくて・・・。今はとりあえず知り合いの家に同居させてもらってます・・・。」

そう答えると

「そうか・・・。いやー、知り合いがいて良かったねぇ。」

「あ・・・は、はい・・・。」

引き攣った笑顔になっていないだろうかと、メディカは内心思いながら、そのまま笑顔をキープしていると

「で、その知り合いっていうのは男の子かい？」

さらっと尋ねてくるホスピに

「いいえ！知り合いの女性のお宅です！！」

と、メディカは眉を寄せぴしゃりと否定するのだった。