昼間は外来の患者が多かったことや、夜間に少年が救急で運ばれて来たことなどもあり、忙しさで泣いている暇などなかった。

しかし、勤務を終え帰宅し、独りになるとまた涙が溢れた。どうしようもなく、ただ落ちていくだけの自分を救ってくれたのがトランクスだった。

傍で胸の内をただ黙って聞き、そして厳しい眼差しで叱りながらも励ましの言葉をくれた彼に、どうしても感謝の気持ちを表したくて手作りのクッキーをプレゼントしたのだが・・・。

久し振りに焼いたクッキーは、自分ではいい感じに出来上がったと思う・・・。

間違いなく舌が肥えているだろうブルマとブラも「美味しいわよ！」と言ってくれた。

１枚食べただけだが、べジータからも文句は言われていない。

普通に食べれる物が出来上がったのだろうが、ただ、手作りを喜んでもらえたかは別である。

（クッキー・・・どうだったかな・・・。）

と、メディカは椅子の背もたれにもたれ掛かり思った。

（・・・もしかして、手作りって重かったかな・・・？）

気持ちを込めた手作りというものは重かったかもしれない・・・。そう思い始めると、トランクスにはただの迷惑だったかもしれないと思い「手作り」というものの難しさを、今更になって気付き

（あぁぁ・・・。トランクスさん、ごめんなさい・・・！）

と、１人眉を寄せ謝罪の言葉を胸の内で叫ぶメディカは、その日トランクスがニヤニヤしながら、仕事の合間にクッキーを食べて幸せな気持ちに浸っていたことなど知る由もなかった。