そんなメディカを見下ろしながら

「・・・ブラのことで礼を言うつもりはないぞ。それがお前たち医者の仕事なんだからな。」

相変わらずの口ぶりで、ダイニングを後にするべジータの背中を振り返り見つめながら、その言葉の中にいつもとは違う感情を感じ取ったのは、メディカの思い過ごしではないだろう。

いつもは誰に対しても素っ気ない態度のべジータだが、こと娘のこととなると違う様だ。

メディカは何度かブラの見舞いに来ていたべジータの姿を思い出し、口の端を上げながら遠のいて行くその背中を見つめていると

「と、父さん・・・！おはよう。」

べジータと入れ替わりでトランクスが入って来た。

驚いた顔を父に向ける息子に「ああ。」とだけ発し、そのまま去って行く後ろ姿を見つめながら

「おはようございます。」

と、メディカがトランクスに声をかけると

「あ・・・おはようございます。メディカさんだったんですね。」

意外な組み合わせに驚いているらしいトランクスに

「ふふ。べジータさんて、素敵な方ですね。」

そう言ってクスクス笑うメディカに

「そ、そうかな？」

と、トランクスは苦笑いを浮かべると

「ええ。さっき初めてちゃんと話しをして、不器用な優しさを感じました。」

そのメディカの言葉に、トランクスは少し驚きながらも

「・・・ええ。そうなんですよ。分かりにくい人ですから。」

その事を十分過ぎる程分かっているトランクスはそう言うと、２人はお互いに顔を見合わせ小さく笑い合うのだった。