「部屋が見つかりましたので、ここを出ることにします。」

そう言われた時の自分はどんな顔をしていただろうか。

ブルマは、まさかメディカがこんなに早く出て行くなど思ってもおらず、ポカンとしてしまったのは間違いなかった。

メディカは息子トランクスに好意を持っている。本人から直接聞いたわけではないが、娘のブラも同じ見解のようなので間違いないとは思う。

だから、こんなにあっさり出て行くとは思いもしなかった。

もし自分がメディカの立場だったら、これ幸いとその家に留まっているに違いない。

しかしメディカは後ろ髪を引かれる素振りもなく、それもすぐにでも出て行くと言う。

理由は・・・聞かなくても分かった。

一昨日、ウチの前をうろついていた奴等のせいだろうと。

立派な望遠カメラを持って、このカプセルコーポレーションの周りを嗅ぎまわっていた３流の週刊誌か新聞社の記者。

狙いは差し詰め自分かトランクスのスキャンダル・・・。

メディカもすぐにピンときたからだろう、ウチに入らず通り過ぎ、奴等を追い返してからトランクスと共に帰って来た。

カプセルコーポに居ては、きっと迷惑がかかる・・・。そう思ったのだろう。

自分なら少しでも世間を騒がせてやる！と思うだろうが、メディカはそんなタイプではない。

自分のことよりも、まず周囲の事を最優先に考えることが出来る。そして、そんな彼女が自分もブラも、そしてトランクスも好きなのだと。

そう思うと

「よかったわね。見つかって。」

と、キュッと口角を上げるしかなかった。