「ど、どうも！はじめまして。」

少々固い会釈をすると、隣から

「あら、この子の方がよっぽどお世話になってるんですよ。」

ニヤニヤと視線を向ける母と妹の視線に、ギクリとし、ますます固くなるトランクスをクリニクは不思議そうに見つめるのだった。





「それでは、私はこれで失礼致します。娘がこちらでお世話になっているうちにお礼に伺うことが出来て良かった。・・・それじゃあ、メディカ。新しい部屋に移ったらまた連絡するんだよ。」

「うん・・・。あ、これ。鍵、一応渡しておくね。」

メディカから小さい封筒を手渡され、それを見て思い出したらしく

「あ、そうだ！渡す物があった。」

そう言ってクリニクも鞄から白く大きな角封筒を取り出すと、メディカへと手渡した。

「叔母さんにも電話するんだぞ。」

その言葉にメディカは困った様な笑顔を浮かべながら「うん・・・。」と頷くと、クリニクは優しく微笑み「それでは失礼します。」と、カプセルコーポを後にしたのだった。

玄関に立ち、父親の姿を見送るメディカが手にしている封筒も気になるのだが、それよりも父娘の先程の会話は自分の聞き違いだろうかと、トランクスは何も言わない母と妹の様子を窺いながら

「あの・・・新しい部屋って・・・？」

おずおず尋ねると

「あら、聞いてないの？メディカちゃん部屋が見つかったから、ウチを出て行くことになったのよ。」

母の口から出たその衝撃の言葉に、トランクスの頭はガン！と殴られた様に、一瞬で真っ白になったのだった。