「メディカさん、昨日は当直でしたよね？疲れてるんじゃないですか？」

「大丈夫です。ありがとうございます・・・。」

メディカは少し疲れの見える顔を笑顔にし、答えるのだった。

そのまま会話は途切れ、長い沈黙が続いていた車内に〝ピピピ〝と携帯電話の着信が響いたのは、あと少しでカプセルコーポに着こうかという頃だった。

「もしもし。」と、電話に出ると母ブルマの大きな声が聞こえ

『いたわよ！カメラを持った怪しい奴等が！！まったく、人の家の前をうろついて・・・ホントに迷惑だわ！！でも、もう安心して！ベジータがアイツ等を追い返してくれたから。ちゃんとカメラも壊してね！ま、別に撮られてヤバイ事なんて何もないんだけど・・・！何を探ってたのかは知らないけど、ベジータに睨まれ、更にカメラまで壊されちゃ、当分ウチには来ないでしょ！こういう時にベジータって役に立つのよねー。ああ、だからメディカちゃんに安心して帰って来るように言って頂戴。』

そう一方的に言って電話を切った母からの電話内容をメディカに伝えると

「そうですか・・・。すみません・・・。ありがとうございます。」

と弱い笑みを浮かべそう言ったきり、また黙ってしまった。

チラリと隣りに座るメディカを窺うと、何かを考える様に少し俯いている。

その雰囲気に話しかけることが憚られたトランクスは、窓の外へと視線を向けたのだが、見える穏やかで温かな光が続く住宅街の景色とは逆に、自身の胸の中には暗い不安と焦燥感が広がっていくのだった。