秘書から告げられた明日の予定のおかげで、会食を早々に切り上げることが出来たトランクスは、エアカーの後部座席で早く自宅に着かないかとそわそわしていた。

本当なら舞空術で飛んで帰りたいところだが、会食中自分を送るために待っていてくれた運転手のことを思うとそれも出来ず、夜のまだ眠る様子もない西の都を眺めながらメディカのことを想っていると、信号待ちで止まったその時

「おや？」

と言う運転手の声が前から聞こえた。

その声に

「どうかしたのか？」

と尋ねると

「あそこにおられるのは、社長のお知り合いの方ではないかと思いまして・・・。」

そう言った運転手の視線は、反対車線の信号の側にあるコーヒーショップを見つめており、そのオープンテラスには携帯電話をじっと眺めて座るメディカの姿があった。

「メディカさん！？」

それは会いたくて仕方なかった彼女で、後部座席から前のめりになりその名を呼ぶと

「その先でお停めします。」

と言う、運転手の気の利いた言葉に

「すまない、そうしてくれ！」

と、トランクスは即答していた。




信号が青に変わると、エアカーは少し先の車道脇で止まり、停止するや否やトランクスはエアカーから飛び出し、周りも気にせず舞空術で浮き上がった。

（何でこんなところに・・・？！）

疑問に思いながら道を飛び越えていると、もしかしたら誰かと待ち合わせをしているのかもしれない・・・。そんな不安が脳裏を掠めた。

しかし、その不安を何とか打ち消しながらトランクスはメディカの元へと向かうのだった。