あても無くただ車を走らせていると、気付けば西の都郊外にあるジンジャータウンへと辿り着いていた。

この場所は昔、セルに襲われ壊滅状態になった街だったが、あれから２０年以上経った現在では街は再建され、高層マンションや大きなショッピングモールなどがある郊外の街として復興していた。

都中心部の様な雑多感はなく、緑も目立つ街並を走っていると、トランクスはダッシュボードの時計が昼を過ぎようとしているのに気付き

「そろそろ、昼食にしましょうか。ちょうど、近くにショッピングモールもありますし。」

と、メディカに声を掛けた。

街の景色を眺めていたメディカは運転席の方へと顔を向けると

「そうなんですね。ショッピングモールならお店も選べそうですし、そうしましょうか。」

そう賛同してくれたメディカに

「じゃあ、向かいますね。」

トランクスは前を向いたまま微笑むと、目的のショッピングモールへと車を走らせるのだった。



白い建物と等間隔に並ぶ街路樹、そして時々建物の間から見える山の緑を眺めながら、メディカは初めて来る街の景色に胸を弾ませながらも、故郷の小さな町と西の都の中心部しか知らずに過ごしてきた自分の世界の狭さを思い知らされていた。

今になって自分が「井の中の蛙」だったことに気付き、とても恥ずかしい気持ちになる。

医師になることを志してからそれだけを目指し、他のことに関心を持つことを極力断って過ごしてきた。

そう過ごしてきた自分に後悔は無かった筈だが、それがいま揺れていた。