自分に気を遣って遠慮しているのだろうメディカに

「あ、デートなんて言ったら迷惑だったかな・・・？」

そう困った様に微笑むと

「えっ！？そんな・・・！迷惑だなんて・・・。そんなことありません・・・！」

「ホントですか？よかった！なら、このまま楽しませてもらおうかな。」

と、微笑むトランクスの横顔に、メディカの心に被さっていたものはするりと剥がれ落ち、次にはキュンと胸が締め付けられた。

「デート」とさらりと口にしたトランクスに、ドキドキと鼓動が高まり表情が緩むのを、流れる窓の外の景色を見る振りをして誤魔化していると

「雨、上がりましたね。もう、降りそうにもありませんし、少しドライブしませんか？」

続けられたその思いがけない提案に

「！・・・はい。」

と、驚きながらも返事をすると

「よかった！運転するのも久し振りなので、少し走りたかったんですよ。」

嬉しそうなその笑顔をチラリと横目で見て

「私も、ドライブなんて久し振りです。」

と、微笑むと

「じゃあ、当てはありませんけど、とりあえず走りますね。」

トランクスもメディカをチラリと見て口角を上げると、アクセルを踏む足に力を入れた。

明るくなりはじめた空からは陽の光が射し始め、これからまたいつも通りの暑さがやってくるだろう気配を感じる。

道路に出来た水たまりの上を通る度に上がるしぶきの音を聞きながら、隣に座るメディカの存在と少しの間訪れる心地良い沈黙、そして緊張感に包まれ、トランクスは気の向くままに車を走らせ始めた。