「メディカさん、まだ起きてるかな・・・。」

トランクスは疲れ切った身体を、ようやく辿り着いた自宅へと運んでいた。

夏季休暇が終わり、案の定その間に溜まっていた仕事が雪崩の様に押し寄せて来た。

会議に接待、母の誕生日会と、休暇明けのボケた身体にはかなり厳しく、しかも今日は苦手とするクラブへと連れて行かれ、最後の最後までツライ１週間だった。

明日が休みでよかったと、心底思いながらメディカの部屋まで伸びる静かな長い廊下を進みながら、こんな時彼女の携帯の番号でも知っていれば連絡出来たのに・・・としみじみ思った。

だが、もし拒否でもされたらショックのあまり立ち直れないと思うと、いまだに彼女の連絡先を聞くことすら出来ずにいる自分が情けない。

はぁぁぁ・・・。と不安と安堵が混じった様な溜息を吐きつつ、メディカの部屋の前まで辿り着くと（どうか彼女が起きていますように）と祈る様に、控えめにドアをノックした。

しーんとした廊下にノックが小さく響き、少し間を置いてもう一度ノックしようかと手をドアへと向けた時〝シュッ〝というドアが開く音と共に、メディカが目の前に現れた。

「あ・・・おかえりなさい。」

そう微笑んで迎えてくれる彼女を見た瞬間、溜まった疲労は溶けて消え

「た、ただいま。・・・あの、待っててくれたんですね。」

嬉しくて、緩みそうになる顔を何とか誤魔化しながら言うと

「患者さんのことはちゃんと待ちますよ。どうぞ。」

と、優しく微笑む彼女に部屋へと招き入れられ、弾む心と共に彼女の部屋へと足を踏み入れた。