時計を見ると深夜０時を回っており

「トランクスさん・・・今日は遅いな・・・。」

と、当直明けの夜に襲ってくる、疲労と睡眠不足と戦いながら、メディカはトランクスの帰りを待っていた。

彼の湿布を替えるというだけのことなのだが、メディカはその僅かな時間が待ち遠しかった。

その時間、少しでもトランクスと話しが出来ることが嬉しく、眠い目をこすりながら、濃いめに淹れたコーヒーを医学書を開きながら啜っていた。

しかし、頭の中に医学書に書かれている内容など全く入ってこず、この２日間トランクスと話したことや、今日は何を話そうかなど、そんな事ばかり考えていた。

お互い少し冗談なども言える様になり、トランクスとの距離が縮まった気がして、敬語ながらもクラスメイトの様に話せることが嬉しかった。

だが、自分の胸の奥には確かに恋愛感情があり、先日トランクスが放った

「お礼のキスでもしてもらうおかな？」

と言う、あのふいを突いた冗談に思いっきり動揺してしまったことを思い出し恥ずかしくなる。

あんなことをさらっと言ってのけたトランクスを少し腹立たしく思いながら、飲もうとして揺れるコーヒーを見つめ

（慣れてるんだろうな・・・。あんなにサラッと言えちゃうんだもん・・・。）

ぽつり胸の中で呟いた。

どう見ても恋愛偏差値が高いだろう彼に、こんな感情を持ってしまった自分が嫌になる。

「楽しみにしてるのは、私だけか・・・。」

寂しく微笑みながら、更に苦味が増した気がするコーヒーを飲んでいると、ドアをノックする音がした。