翌日、トランクスは出張を終えカプセルコーポレーション本社に戻ると、留守の間に溜まった仕事を片付けていた。

昨日は出張で良かったな・・・。と、心の中で呟く。

トランクスは椅子から立ち上がると、外の景色を眺めた。

窓の外には灯りが燈り、部屋からは西の都の夜景が遠くまで見渡せる。

外を見ながら小さく溜息を吐き、家に帰るのが億劫に感じている自分がいた。

それ程メディカと顔を合わせるのが気まずかった。

そして、彼女もきっと気まずく思っているのだろう。
２日前にすれ違った時の、メディカのスッと自分から目を逸らす顔が思い出されて、胸が痛む。

「はぁぁ・・・。」

と、長い溜息を吐いてから

「中庭に入らなきゃよかったな・・・。」

肩を落とし独りごちた。

メディカと２人きりになれる！という、単純で甘い期待を胸に中庭へと入って行った自分を呪いたくなった。

せっかくブラの退院パーティで彼女との距離が少し縮まった気がしたのに・・・。

「何やってるんだ、俺・・・。」

ぼそっと吐き出した言葉は、ゆっくりと宙へと虚しく飛んで行く。

ちらりと見たデスクには、もう決裁を待つファイルは無く、いつでも帰宅出来る状態だ。

「・・・ちょっと、気分転換してから帰るか・・・。」

そう呟くと、窓を開け勢いよく空へと飛び出した。

夏の夜風を纏いながら、除々にスピードを上げて行く。

「やっぱり空は気持ちいいや！ホント、舞空術って最高だよなー！！」

トランクスは気の向くまま、憂鬱な気分を払拭する様に、夜空を突っ切るのだった。