母に見据えられながら、昨夜のメディカの泣き顔が脳裏に浮かび、トランクスは表情を曇らせた。

その顔にブルマは何かを感じ取ると

「何があったか知らないけど、メディカちゃんは昨日より元気そうだったわよ。」

と、表情を和らげるのだった。

「・・・そうか・・・。なら良かったよ。」

その母の言葉を聞き弱い笑顔を見せると、トランクスはリビングを後にした。



部屋に入るなり、ネクタイを解きながら、トランクスはまた昨夜のことを思い出していた。

ふと窓に映った自分を見て、溜息を吐いてしまう。

（あー・・・。何偉そうなこと言ってんだよ・・・。）

昨夜、メディカに言ったことをトランクスは後悔していた。
一体何様のつもりだと、自分でも思ってしまう発言に「ありがとうございます。」と言いながら、彼女は内心どう思っていたのだろうか・・・。

そう思うと、また盛大な溜息が出た。

メディカと顔を合わせるのがとても気まずい・・・。

しかし、辛く苦しそうなメディカを見て、言わずにいられなかった。

それに、これからもまたその苦しみを味わうであろうメディカに乗り越えて欲しいと思い、出て来た言葉だった。

「あぁ・・・。嫌われたかもな・・・。」

思わず天を仰ぐ。

彼女の柔らかい笑顔が好きな筈なのに、泣き顔にさえドキリとして、その顔しか思い出せなくなっている自分に呆れてしまう。

彼女は今、同じ屋根の下で何を思っているのだろう・・・。

トランクスはそう思うと、胸の奥が痛むのを感じるのだった。