トランクスがリビングに戻ると、まだメディカの姿はなかった。

　いつもの席に座ると、ブルマがキッチンからワゴンを押して現れ

「先生の席、ここでいいかしら？」

　と、トランクスの向かいの席に食器や料理を並べ始めた。

　トランクスは並べられる２人分の料理を見ながら、落ち着かず少し緊張している自分に気付いた。

　つい先日までは、何の意識もしていなかった彼女を妙に意識しだしているのは何故だろう。
やはり、自分の弱味を握られた様な気不味さからだろうか……。

　トランクスが１人、そんな事を思いながらそわそわしていると

「ブルマさん、すみません！」

　慌てた様子でリビングに戻って来たメディカの声に、テーブルの２人は顔を向けた。

「いいのよ。ちょうど用意出来たところだし。さ、先生ここに座って！」

「ありがとうございます。」

　メディカは勧められた席に座ると、トランクスと向かい合う形となり、久しぶりのその状況に思わず口角を上げるのだった。

「ど、どうかしましたか？」

　と、その様子に気付いたトランクスはビクリとした顔をメディカへと向けると

「あ、いえ。夜の食事を人と一緒に食べるのが久しぶりで……」

　と、はにかんだ様に答えるのだった。

「……同じですね。俺も大体、夜はいつも１人ですから」

　そう言うと、今日は１人ではないことを再確認する様に、トランクスは向かいに座るメディカに微笑むのだった。