「て言うかアンタ、食事に誘おうなんて思いもしなかったでしょ」

（うっ……）

　図星である。そんな事、頭の中を過ぎりもしなかった。

　顔を引き攣らせていると

「はぁー。ホントお兄ちゃんはダメねぇー。そんなんじゃ、悟天さんに笑われるわよ」

　ブラも呆れた様子で、ソファへと戻って行く。

「まったく。女の子１人食事に誘えないなんて……」

　ブルマも呆れ果てた様子で、くるりと後ろを向くとキッチンへと入って行った。

　１人残されたトランクスは、疲れた顔でリビングを出た。

　部屋へ向かいながら、もし食事に誘えばメディカは頷いてくれたのだろうか？　など考えている自分がいた。

　どこまでか分からないが、母から自分の情報を聞かされている彼女と話していて、最初は身構えていたことは間違いない。

　しかし、話しをしているうちに彼女に対する警戒心は解け、家に着く頃にはもっと話していたいとさえ思う自分がいた。

　こんな感じは何時ぶりだろう？

　学生の時か？　いや、それより前か？

　ただ、本当に長い間こんなふうに自然な状態で異性と話す事などなかった気がする。


　家族以外で言えば、ビーデルとその娘のパン、それと１８号と娘のマーロンぐらいだ。
だが、この４人は昔から知っている気心知れた間柄だ。

　部屋に入ると、ネクタイを解きながら、また今日のような機会があればメディカを食事に誘ってみようか……。

　トランクスはそう思うと、胸が少し高ぶるのを感じるのだった。