「え？」

　声の方を向くと

「それ、重たくないですか？」

　メディカのキャリーバッグを、片手で軽々と持ち上げている自分に、驚いた顔が向けられている。

「あぁ。これぐらい、重たいうちに入りませんよ」

　そのままキャリーバッグをおろし、買い物の紙袋たちをメディカに手渡した。

「ありがとうございます」と、メディカはそれを受け取ると

「やっぱり、トランクスさんもトレーニングされてるんですか？　べジータさんは毎日されてるって、ブラちゃんから聞いたんですけど」

　少し首を傾け尋ねるメディカに

「そうですね。俺も、むかしは毎日してましたよ。今は時間がある時しか出来なくなりましたけど」

　と、少しの嘘を絡め答えた。

　平和が続き、今や強さを求める必要は無くなった。生粋のサイヤ人である父や悟空の様に、地球人とのハーフである自分は強さへの追及にあまり関心がない。

　父にはただ「修行を怠けている」としか見られていないようだが……。

　そんな頭の中を隠す様に、ニコリと笑うとキャリーバッグの持ち手に手を掛けた。

「あ、私、自分で持ちますから」

　慌ててトランクスの行為を制止するメディカに

「中まで持ちますよ。さ、入りましょうか」

　そう言うと、トランクスはエアカーをカプセルへと戻すのだった。