「ありがとうございました！」

　ニコリと微笑むメディカに、つられる様にトランクスも

「いいえ」と、微笑んだ。

　礼を言いたいのは、むしろトランクスの方であった。

　あれから家に着くまでの短い間、
メディカと他愛のない会話をするうちに、自分の心に溜まっていた淀んだものが少しづつ吐き出され、気分が晴れていくのが分かった。

　何の駆け引きもない普通の会話。

　それが新鮮だと感じる自分は、病んでいるのかも知れないと思った。
普段接している人間たちとは明らかに違う感覚。

　それはメディカの落ち着いていながらも抑揚のある声や、柔らかい雰囲気、時折漏れる控え目でいて自然な笑い声……。
それが、非日常的効果をもたらしたのかもしれない。

　悟天と会う機会が減り、自分を飾らずに心を砕いて話すことが出来る存在が欠けていたことに気付くと、母が「ガールフレンドをつくりなさい」と、しきりに言っていた理由が分かった気がした。

　それでも、まだその様な存在をつくる気など起きないが、ありのままの自分に近い状態で接することが出来るメディカの存在は貴重だと思った。

　エアカーから荷物をおろしながら、そんなことを思っていると

「わぁ。トランクスさん、凄いですね！」

　と、メディカの感嘆する声が聞こえた。