メディカの事を意識した途端、トランクスは話しづらくなってしまった。

　別に女性が苦手な訳でも、免疫がない訳でもない。

　しかし、隣の彼女は人の機微に敏感な様で、トランクスは自分の中に潜む劣等感を感じ取られてしまったことに居心地が悪くなっていた。

　この様な女性とはあまり接したことが無く、正直苦手かもしれないと思った。

　これまで、異性の前ではスマートに振舞うよう心掛けていた自分の調子が狂ってしまい、どういう態度でいればいいのか分からず黙り込んでいると

「フフッ」

　と、メディカから笑いが漏れた。

「ど、どうかしましたか？」

　次は何を言われるのか……。思わず身構えると

「ブルマさんが言ってたんです。トランクスさんにガールフレンドが出来たら、もっといい仕事が出来る様になるのにって」

　メディカはそう言うと、また「フフッ」と笑った。

「なっ……！　そんな事を先生に言ってるんですか……！？」

　それを聞いたトランクスは、一気に体温が上昇していくのを感じた。
ハンドルを握る手に思わず力が入る。

　母からそんなコトまで聞かされているとは……。

　一体隣りの彼女は母からどんな情報を吹き込まれているのかと思うと、トランクスはますます落ち着かなくなった。

　とても不利に思えるこの状況に、ハンドルを握る手にますます力が入るトランクスだった。