メディカはその笑みに少し辛さの様なものが混じっているのを感じ取ると

「御存知でしたか？　私とトランクスさん、同じ歳なんですよ」

　と、話題を変える様に言った。

「あっ、そうなんですか？」

　トランクスは目を大きくし、チラリと助手席を見た。メディカの年齢のことなど気にも留めていなかった。

「私と同じ歳で大企業のトップなんて、想像出来ないくらい大変なことですよ。簡単に出来る事じゃありません。でも、ブルマさんが言ってました。トランクスさんは、よくやってくれてるって」

「えっ……母さんが？」

　まさか、母の自分に対する評価を聞けるとは思わず言葉に詰まった。

「はい！　だから、トランクス社長は大丈夫です。ブルマさんが認めてくれてますから」

　そう言う声の方をチラリと見ると、メディカは微笑みを浮かべながら真っ直ぐ前を見つめている。

　思えば、家族や仲間、社内の人間以外と話しをするのは久しぶりだった。
ましてや同じ歳の、しかも異性と。

　そう意識した瞬間、ハンドルを握る手が汗ばんでくるのをトランクスは意識せずにはいられなかった。

(何か……落ち着かないな……)

　そう思うと、隣りから微かに香る花の様な香りにドギマギしている自分に動揺した。
しかし、動揺の原因はそれだけではなかった。

　メディカに己の心の内を垣間見られたこと、そして、それをさり気なくフォローしてくれたことが大きかった。

　トランクスは久しぶりに、心が萎縮するのを感じるのだった。