トランクスは席に着くと、自分の正面にあるキャビネットの上に小さめのホワイトボードが掛けられているのが目に入った。

　ホワイトボードには

”１６日　当直　１７日　２１時頃帰宅予定”

　と書かれている。

　ムスっとしたままトランクスの隣に座ったブラも、見慣れないホワイトボードに気が付き、その文字を眺めている。

「おはよう」

　キッチンから朝食の乗ったワゴンを押しながらブルマが出て来ると

「おはよう」
「おはよう、ママ」

　２人は視線をブルマへと移した。

　出て来たブルマは、２人の視線が自分に向く前に何処を見ていたか察すると

「それ、メディカ先生の予定よ。先生のスケジュール、そこに書いといてもらうことにしたの」

　聞かれるであろう質問に答えながら、ワゴンの上の朝食をテーブルに並べ始めた。

「当直ってことは、先生今日は帰って来ないのね」

　ブラは更に表情をムスッとさせる。

「当直」という言葉の意味を、ブラが知っていることにトランクスは少し驚いた。

　きっと、入院中に知ったであろうその言葉の内容を、妹は自分より詳しく知っているかもしれない。

「聞いてたら医者って大変な仕事ね。当直はあるし、担当患者に何かあれば深夜でも呼び出しがあるって言うし。はぁー、考えただけで疲れるわ」

　ブルマは眉根を寄せ

「せっかく先生がウチに住んでくれることになったのに、ゆっくり話しも出来そうにないわ」

　と、残念そうに続けた。

　そんなガッカリした様子の母と妹に、トランクスは新聞に目を通しながら、苦笑いを浮かべるのだった。