玄関口でそんなやり取りをしていると

「ねぇ。この部屋、水や消火剤がすごいんだけど本当にすぐに住んで大丈夫なの？」

その声にメディカが振り返ると、腕を組み険しい顔をしたブルマが立っていた。

担当者はメディカ越しにブルマを見ると、先程までの柔らかい表情から一転、顔を強張らせ

「あの、それがですね・・・。本日お伺いしましたのは、その件でして・・・。」

と、言葉を濁した。

メディカとブルマがその後に続く言葉を静かに待っていると

「大変申し上げにくいのですが、今回の事を受けまして、こちらのマンションの建て替えをすることになりまして・・・。」

「えっ？」

メディカの反応に、目の前の男は苦い表情を浮かべている。

「それってどういうことよ？」

ブルマは訝しげに担当者を見つめると

「その・・・この建物を取り壊すことになりまして・・・現住民の方にはすぐに退去して頂くということに・・・。」

「え？はっ？！・・・えーー！！？」

担当者の言葉にメディカは思わず叫んだ。

あまりにも急過ぎる、とんでもない話しにメディカは口を開けたまま固まってしまった。同時に思考もストップする。

「ちょっ、ちょっと！それってあまりにも急過ぎるじゃない！！」

メディカの言いたい事を代弁したのはブルマだった。

「は、はい。おっしゃる通りです。しかし、こちらの土地主がそう申しておりまして・・・！あの、急なことですし、現住民の方々には新たなお住まいの確保と、立ち退き料としてですね・・・」

必死で話す担当者の説明は頭の中に全く入ってこずメディカは呆然と、何処かをただ見つめていた。