「行って来ます。」

出勤の時刻になり、トランクスはリビングに顔を出した。

先程のこともあり、メディカとは顔を合わせづらかったが「いってらっしゃい。」と言うメディカの顔は笑顔で、ホッと胸を撫で下ろす。

朝から失態を演じ、自己嫌悪に陥っていたが、先程の笑顔で幾分か気持ちは軽くなった。そして、迎えの車に乗る頃にはいつもの凛々しい若社長の顔へと戻っていた。


ソファで寛いでいる女性陣は、トランクスの姿が見えなくなると

「さっきは、本当にごめんなさいね、先生。あの子時々考えずに発言しちゃうことがあるから・・・。」

ブルマは眉をひそめた。

「ホント、お兄ちゃんのああいう所もすっごく残念よねー。」

ブラもクッションを抱きしめ呆れている。

「いえ、本当に大丈夫ですから。管理会社さんからは今まで通り住めるって言われてますし。」

２人を宥めると同時に、自分にも言い聞かせるように言うとメディカは笑顔を作った。
ただ、本心は早く自分の家の状態を確認したい気持ちでいっぱいだった。

「どうなってるのかなぁ、先生のおうち。」

「そうよね・・・。とりあえず、今から見に行きましょうよ！先生も気になるでしょ。」

「はい。そりゃあもう・・・。」と、逸る気持ちを飲み込む様に頷いた。

そして、メディカのマンションへと行くことになったのは、午前１０時を少し過ぎた頃だった。