「そりゃ、社長業は大変よ。でも、仕事とプライベートはしっかり分けなきゃ。どっちかに偏り過ぎたら上手くいくモノもダメになっちゃうわよ」

　ブルマのその言葉にメディカはギクリとした。

　自分もまさに現在（いま）その状態ではないか……。

　毎日病院と自宅を往復しているだけの生活……。そう思うと、自分はすごく狭い世界の中でしか生きていないんじゃ……。と、不安になった。

　メディカが密かに自身を見つめ返していると

「お兄ちゃん仕事が大事なんだ。って言ってたけど、それだけじゃない気がするのよねー。まぁ、男好きってわけじゃないみたいだけど」

「そうね。一応ガールフレンドはいたもの。ブラは会ったことあるのよねぇ。私も会ってみたかったわー」

　残念そうに言うブルマに

「うん。あ、でも、ママは会わなくて良かったと思うわ」

「えっ、何でよ？」

　母の疑問には答えず、ブラはツッと紅茶を飲むと、また

「それだけじゃないのよねー……」

　と、少し考える様に呟くのだった。

　そんなブラを、メディカとブルマが不思議そうに見ていると

「あ。お兄ちゃん本当の恋を知らないとか」

　ブラのその言葉に

「えっ……？」

　と、２人は目をパチパチさせた。

「もしかして、お兄ちゃん本当の恋愛したことないんじゃない？」

　ブラのこの発言に、メディカとブルマは一瞬きょとんとした表情になった。が、すぐに

「まさかー！」

　と、見事に重なったこの声で、ブラの発言は簡単に片付けられてしまったのだった。