「ちょっと、ママ！どういう事！？」

　ダイニングテーブルに置かれた走り書きを読んで、ブラは声を上げた。

　ブラの手の中にある１枚の紙には

”昨晩はお世話になりました。仕事が終わりましたら、改めてお礼に伺います。　メディカ”

　と、書かれてある。

　キッチンから朝食を運び、テーブルに並べていたブルマが

「昨日、先生ウチに泊まったのよ」

　事も無げに言うと、ブラは目を見開き

「何で！？　何かあったの！？　て言うか、何で起こしてくれなかったの！？」

　と、軽い興奮状態になっている。

「それだけ元気なら、今日からでも学校行けたわね」

　ブルマは呆れた顔を娘に向けた。

「ねぇ、ママ！　何があったの！？　ねぇ！　　ねぇ！」

　答えるまで解放してもらえそうになく、ブルマは観念すると

「先生の住んでるマンションが、火事になっちゃったのよ……。それで、先生は昨日ウチに泊まったの。遅かったし、ブラはまだ病み上がりなんだから、わざわざ起こさなかったのよ。それに、起こしてたらママが先生に怒られるわよ」

　昨晩の出来事をブラに説明した。
　
　大きな瞳をパチパチさせ話しを聞いていたブラだったが、事情が事情なだけに

「そうなの……。先生のマンションどうなるの？」

　先程までの興奮は何処へやら、気の毒そうな顔をブルマに向けた。

「うーん……。全焼したわけじゃないから、住めないことはないんだろうけど」

　ブルマが視線を宙に向け、考えていると

「おはよう」

　まだ眠いのであろう、トランクスが欠伸をしながらリビングに入って来た。

「おはよう」

「お兄ちゃん、おはよう」

　２人から返される挨拶を聞ながらトランクスはダイニングテーブルの席に着くと、近くに置かれた新聞に手を伸ばした。

「お兄ちゃん。昨日、メディカ先生がウチに泊まったの知ってる？」

　テーブルに置かれていたコーヒーをトランクスの前に置き尋ねると、トランクスは開いた新聞を少し下げ、隣に立つブラの顔を見上げた。

「え・・・あぁ」

　と、返事をすると

「はぁー……知らなかったの、ブラだけなのね」