あまりにもブルマの帰りが遅いので少し心配になり、トランクスはブルマの帰りを待っていた。

　ソファに座り、読んでいた雑誌をめくる手を止め、ふと、時計を見ると午前０時近くになっている。ブルマたちが此処を出てから、２時間近くになろうとしている。

　すると２つの気がカプセルコーポに入って来るのを感じた。
１つは母であるブルマだが、もう１つは……さっきここを出たメディカの気に似ている。



「トランクス。起きてたの……」

　リビングに入って来たブルマの顔は珍しく曇っている。

「おかえりなさい。……どうしたの？」

　ソファから立ち上がり、視線を母の後ろに佇んでいるメディカに向けた。

　ブルマはチラリと後ろのメディカの様子を窺うと、言いにくそうに

「それがね……先生の住んでるマンションが、火事になっちゃって……」

「えっ……！？　火事って……！」

　トランクスは予想外の答えに絶句した。

「全焼はしてないけど、今日は部屋に入るのは無理だろうからウチに泊まってもらおうと思うの」

「そういう事なら……」

　２人は気の毒そうな顔をメディカに向けた。メディカは俯いたままで、２人の今のやり取りを聞いているのか分からない。

　突然の事態にショックを受けているのは確かだ。

「とりあえず、先生は座って。喉渇いたでしょ？　何か冷たいもの持って来るわ」

　ソファにメディカを座らせると、ブルマはキッチンへ入って行った。

「……大丈夫ですか？」

　何と声を掛けていいか分からず、トランクスは月並みの言葉を口に出すと、少しの沈黙の後メディカはふと顔を上げ

「ありがとうございます。大丈夫です……」

　弱々しい笑顔をトランクスに向けた。顔は疲れとショックからか、青白く見える。

「あの、今日はウチに泊まっていってください」

「すみません……。ご迷惑おかけして」

　笑顔は更に弱々しくなっていく。

「いいのよ。ウチにはゲストルームがあるから、遠慮なく使ってちょうだい。後で案内するわ」

　アイスティーをトレイに乗せたブルマはキッチンから出て来ると、メディカの前に置いた。

「ありがとうございます。……本当にすみません」

「いいのよ、気にしないで。それより、これ飲んで。疲れたでしょ」

　ブルマはメディカの横に座り、優しく微笑んだ。