ふと、トランクスは二人の後ろに立つメディカを見た。

　帰って来ると、母と妹以外の小さな気を感じ「誰だろう？」と思っていたところだった。

「こんばんは。すみません、こんな時間まで、お邪魔してしまって」

　申し訳なさそうに頭を下げるその顔を、トランクスは一瞬思い出せなかった。

「いえ」

　と、返事をしつつ、脳内の記憶を辿っていると

（……あっ！）

　トランクスは先日、ブラの病室で出会った女性医師のことを思い出した。

「じゃあ、私、先生を送って来るから。ブラはもう寝なさいよ。あー、それからトランクス。明日の会議の資料、アンタの机に置いてあるから。ざっと読んどいて」

　ブルマはカプセルを投げると、シルバーのスポーツカータイプのエアカーを出現させた。

「先生、乗って」

　ブルマはそれに乗り込むと、エンジンを掛けた。

「それじゃあ、ブラちゃん。おやすみなさい。退院はしたけど、まだ無理しちゃダメだからね」

「はーい。先生の言う事だもん。仕方ないから聞いてあげる」

その言葉にニコリとしてから、メディカはブラの後ろにいるトランクスに視線を向けた。

「それでは、失礼します。」

　ニコリと会釈され、初めて会った時のふんわりとした柔らかい雰囲気が思い出された。

「先生！　また来てね！！」

　助手席に乗ったメディカに、ブラは手を振っている。

　メディカの方も小さく手を振ると、エアカーは進み始めた。

「今の、ブラの担当だった先生だよな？」

　エアカーの後ろ姿を見送りながら、トランクスが聞くと

「そうよ、メディカ先生！　学校に出す診断書を届けに来てくれたの」

　嬉しそうに話す妹は少し痩せたが、いつもと変わらない口調にトランクスは安心しながら

「ほら、中に入るぞ。母さんに言われただろ。もう寝ろよ」

　ブラを家の中に入るように促した。

「はーい」

　返事をすると、ブラはトランクスの後について家の中へと入った。