「へっ……？」

「あぁ、悪い意味じゃないのよ。先生は雰囲気が柔らかいから、お医者さんぽくないっていうか……あぁ、私の勝手なイメージだから気にしないで！」

　ブルマのイメージする女医とはどの様なものか分からないが、自分はやはり医者らしくないのだろうか……。

　それは、メディカ自身一番気にしているところではあった。

　メディカの気持ちが沈みかけていると

「でも、私は先生みたいなお医者さんが大好きよ！」

　ブラは母親と同じ大きな瞳でメディカを見つめた。

「そうね。私も先生みたいなお医者さんって素敵だと思うわ。親しみが湧くっていうのかしら。先生を見てると、ホッとするっていうか。病は気からって言うじゃない？気持ちの方から病気が治りそうな気がするもの」

　思いもよらぬブルマの言葉に、メディカの沈んでいた気持ちが浮上する。

　初めて、医師としての自分の評価を聞いた。

　研修医となって、自分の未熟さを痛感しながら、日々患者たちと向き合っていたが、このように思ってくれる人もいるのだ。自分は少しでも役に立てているのかと思うと、不安が払拭された気がした。

「あ、ありがとうございます。そう言って頂いて、すごく励まされます」

　照れながら、嬉しそうにしているメディカに

「そうよー。先生は絶対いいお医者さんになるわ。私が保証する！」

　ブルマはウィンクし

「私もそう思うわ！また病気になったら、次も絶対に先生が私の担当ね！！」

　力強くブラは言った。

「ブラちゃん、気持ちは嬉しいけど。私はブラちゃんが元気でいてくれる方がずっと嬉しいわよ」

　メディカが苦笑いを浮かべると

「そうよ、ブラ。ブラがいないと、パパが病気になりそうなんだから。当分は元気でいてよ」

　ブルマは呆れた顔を、ブラに向けた。

「じゃあ、パパも病気になったら先生に診てもらったらいいじゃない！」

　嬉しそうなブラに

「あのね……」

　と、ブルマは顔をしかめた。

　そんなやり取りを微笑ましく見ていたメディカが、ふと、壁の時計に目を向けると針は１０時を過ぎていた。