女性たちの座る縁台には、自己紹介を兼ねて仲間達がやって来てはメディカと言葉を交わしている。

メディカが、男性陣（特にヤムチャ）にも笑顔を絶やさず話しているその光景は、トランクスにとって面白くない光景であった。

「あー、メディカちゃん早くあそこから離れてくれないかなー。」

隣に座る悟天も不満そうに焼きそばを啜っている。

さすがにチチがいる側で、メディカを口説くのは無理らしく

「誘いに行けばいいだろ。」

と、悟天をけしかけるも

「母さんがいるからなぁ・・・。」

と、渋い顔をしている。そして

「あーあ。このままじゃ、ヤムチャさんに取られちゃうよ！」

口を尖らせる親友が続けた言葉に、トランクスはギョッとした。

（まさか・・・！た、確かにヤムチャさんは若く見えるけど・・・母さんより年上の筈だよな・・・。そういう対象になるのか？！）

メディカの好みのタイプなど知る筈もなく、トランクスの胸に黒いモヤが広がって行き、１人俯き悶々としていると

「キャッ！」

というメディカの小さい叫び声が聞こえ、トランクスは顔を上げた。

目を遣った先にはブルマとチチから殴られている亀仙人の姿があり、トランクスは何が起きたか瞬時に理解すると、バッと立ち上がり、一瞬にして姿を消したのだった。

「あっ、トランクス！」

悟天がそう声を上げた数秒後には、もう親友の姿はブルマたちの座る縁台にあった。

「トランクスぅ・・・。」

残された縁台で、悟天はただ１人、親友の名を呼ぶのだった。