1人喧騒から離れた縁台に座り、腕時計をチラリと見ながら

（もうすぐ９時か・・・。頼むから、帰って来ないでくれよ・・・）

と、トランクスがメディカの小さな気を探りながら１人そわそわしていると

「なぁ、トランクス。」

急に話掛けられ、ビクッと肩を揺らし顔を上げると、そこにはかき氷を持ったクリリンが立っていた。

「な、何ですか？」

平静を装いつつ尋ねると

「いやー、ブルマさんから聞いたんだけどさ、ここに女の子が住み始めたんだろ？」

「えっ・・・？！」

「今日は、その子いないのか？」

「え、ええ・・・。その・・・今日は、仕事らしくて・・・。」

クリリンがメディカの存在を知っている事に驚きつつ答えると

「そっか・・・残念だなぁ。ちょっと会ってみたかったのになぁ。」

残念そうな笑顔を向けるクリリンとのこのやり取りで、完全に油断していた。

「お姉ちゃん！おかえりなさーーい！！」

という、ブラの弾んだ大声に、トランクスはビクリと反応すると素早く庭を見回した。

すると、庭の入口で空を渡る提灯の列を呆然と見上げているメディカの姿があった。

「あ・・・！メディカさん・・・！！」

焦りを隠せないトランクスの横で

「お、トランクス。あの子がそうか？」

呑気にそう言い、メディカをよく見ようと背を伸ばすクリリンの傍で、トランクスは嬉しそうにメディカの傍に駆け寄るブラの姿を見ながら「ええ・・・。」と力なく答えるのだった。