２日後、ブラは退院した。入院した日と同じような夏の眩しい日だった。

「元気になって良かったわね、ブラ！　……本当に先生や看護師の方々に感謝します。ありがとうございました」

　迎えに来たブルマは、見送りに出ている担当医師のホスピやメディカ、看護師たちに感謝の言葉を述べた。

「ブラちゃん、本当に元気になって良かったわ！でも、まだ無理はしちゃダメよ」

　そう言ってメディカがブラに微笑みかけると

「うん……。分かってる……」

　と、表情を曇らせたブラは答えるのだった。

　そんな娘を気にしつつ、ブルマは

「さ、ブラ。帰るわよ！」

　エアカーに乗るように促した。

「うん。……メディカ先生、ありがとう」

　ブラは名残惜しそうにメディカを見ると

「いいえ。私は元気になったブラちゃんをこうして見送れて嬉しいわ。もう入院しなくていい様に、いつまでも元気でいてね」

　メディカはいつも通りの柔らかい笑みをブラへと向けた。



　エアカーに乗り込むと、ブラはすぐに窓を開け

「本当に、先生に看護師さんありがとう！」

　笑顔を作ると、先程とは違い明るい声を出すのだった。

　見送りの面々も「元気でね！」や「さようなら」等ブラに声を掛け、手を振っている。

　ブルマは会釈をすると、エアカーを発進させたのだった。



「退院出来たんだから、そんな顔しないでよ」

　隣に座るブラを横目に見ながら、ブルマは信号待ちの為ブレーキを踏んだ。

「うん……。メディカ先生とは、もう会うことないのかな……」

　ポツリと呟く様に言う娘に

「もう入院だけは勘弁してよ！　そんな事になったら、次はパパも心配し過ぎで病気になっちゃいそうなんだから」

　ブラが入院中のべジータの様子を思い出し、ブルマは吹き出しそうになった。心配と寂しさでイラ立っているべジータの姿など、そう見られたものではない。

「パパ、そんなに私のこと心配してくれてたのね。……ふぅ……仕方ないわ。当分元気でいてあげる！」

　今まで通り生意気な発言をする娘に、ブルマは、やっとブラが元気になったのだと実感するのだった。

「ブラが帰って来るの、首を長ーくして待ってるわよ。寄り道しないで帰りましょう」

　ブルマはエアカーのアクセルを踏むと、スピードを上げた。