カフェのカウンターに座ると、メディカは小さく息を吐いた。

午前中から西の都にある不動産屋巡りをしているが、条件を満たす物件は全く見つからない。

深夜の呼び出しや、帰りが遅くなることもあるので、勤務先である西の都の病院近辺で探しているのだが、なかなか難しいらしい。

（なかなか見つからないなぁ・・・。いつまでもブルマさんたちのお世話になるわけにもいかないし・・・。なるべく早く新しい部屋見つけないと・・・。）

メディカは深い溜息を吐いた。

あの火災から１週間が過ぎ、先日管理会社からマンションの退去についての説明会を行うという連絡があった。

各個人には退去について知らされてはいるが、詳しい説明などはされていない。

今度の説明会で、居住者に対して十分な説明をするということのようだ。

揉めること必須のその説明会に行くのは億劫に感じるが、当事者として参加しないというのもスッキリしないので、週末の夜に行われるその会には参加することに決めていた。

（・・・他の人はどうしてるんだろう・・・。）

ふと思うと、自分はとにかく運が良かったとしか思えなかった。

何の巡り合わせか、カプセルコーポレーションの一家と知り合い、図々しくもそこで厄介になることになったのだから。

メディカはブラインドの隙間から細く差し込んできて腕に照り付ける昼下がりの太陽の光線を避けるように、アイスコーヒーのグラスに手を伸ばすと、乾いた喉へとそれを流し込むのだった。