スタスタとリビングを出て行く息子の背中を見つめながら

「どうしたのかしら、あの子。今日はやけに早く帰って来たし。」

ブルマは不思議そうに呟くのだった。

そんな母の姿に、ブラはテレビへと顔を向けたままニヤニヤし

「ママに気付かれるのも時間の問題ねー。ホント、お兄ちゃん分かりやすいんだから。」

独り言の様に呟いた。そんな娘を気にする様子もなく、べジータは黙ってテレビの画面を見つめている。

そんな無反応な父に

「ねぇ。パパも気付いてるんでしょ、お兄ちゃんのこと。」

べジータの横にピタリとくっつくと、ブラは囁く様に尋ねるのだった。

「・・・何のことだ。」

ジロリと自分を見るべジータに、ブラは口を少し尖らせたが

「ううん、いいの。何でもないわ。」

と言うと、ブラもまた、世界中で起こっている様々な出来事を映す画面へと視線を戻すのであった。



しばらくして

「あの、べジータさん、ブラちゃん。私、部屋に戻ります。」

メディカの声が後ろから聞こえ、ブラは振り向くと

「うん！お姉ちゃん、おやすみなさい！」

と、明るい笑顔を向けた。

そんなブラにメディカも微笑むと

「おやすみなさい。では、失礼します。」

そう言って頭を下げ、メディカは自分の部屋となっているゲストルームの一室へと戻って行くのだった。

「パパはお姉ちゃんのこと、どう思う？」

ブラが隣りを見上げると、見下ろす父と目が合った。そして、少しの間の後

「フン。興味がないな。」

べジータはそう言うと、再び視線を正面に向けるのだった。