その後、母であるブルマと少し話しをしてから、メディカは病室を出て行った。また後で指導医と一緒に病状の説明をしに来るとのことだった。

「ブラ、いい先生でよかったじゃない！　見てるだけで癒される感じがする子ね。医者は天職じゃないかしら」

　うんうんと、１人納得しているブルマを見て、ブラも同意する様に微笑んだ。

　すると、先程から腕を組んで黙り込んでいたべジータが

「俺は帰るぞ」

　と、ドアに向かって歩きだした。

「え、まだ先生の話があるのよ！」

「おまえが聞いていれば十分だろう」

　そう言うとべジータは病室を出て行った。

「はぁ……。ま、ここに来ただけでもよしとするか」

　ブルマは溜息混じりに閉まっていくドアを眺めた。

　しばらくして、メディカが指導医のホスピと共に病状の説明にやって来た。

　ホスピの説明によると、補液と抗生剤の投与で治療を行い、３日間は絶食、４日目の血液検査の結果を見てから食事の再開を検討するということだった。

　説明が終わり、メディカ達が病室を出てまもなくすると、担当の看護師がやって来てブラの点滴を交換してくれた。

　ブルマがちらりと室内の壁に掛けてある時計に目を遣ると、もう夕方の５時近くになっていた。外はまだ明るく、日差しも白いままだったので、こんなに時間が経っているとは思わなかった。

「こんなに長い時間、病院にいることになるとは思わなかったわー」

　やっと落ち着いた病室で、伸びをしながらブルマは窓際に向かった。
病室は都の郊外の方を向いていて、高層ビルなどの建物は視界に入ってこない。

「ママ……。もう帰る……？」

　ブラの声に、ブルマは振り向き

「もう少ししたらね。……もう、大丈夫よ！　毎日来るから！　安心しなさい」

　まだ不安そうな娘の頭を優しく撫で、ブルマはしばらく娘と離れる名残惜しさを紛らわした。