しかし、そのブラのセリフに慌てたのは、メディカだった。

「ブラちゃん！？　運転なら私、出来るから！！　ブルマさんがエアカー貸してくれてるし！！」

　慌てた口調のメディカの声と共に、トランクス自身も焦りの色を滲ませる。

「ダメよ。運転だけじゃなくて、荷物持ちもしてもらうんだから」

　当然といった表情で言い放つブラに

「で、でも、トランクスさんはせっかくのお休みなんだし……！ねぇ、トランクスさん……！！」

　メディカが、焦りの表情をトランクスに向けると、トランクスも

「え……えぇ……」

　と、明らかに引き攣った表情を浮かべている。

　１週間社長としての激務をこなし、今朝はべジータとの激しいトレーニングを終え、今日一日ゆっくりと家で過ごすつもりでいた。

　やっと休めるとホッとしたところで、妹のこの発言だ。

（勘弁してくれよ……！）

　という思いが頭の中を駆け回ったが、パッと閃くと

「あ、じゃあ、父さんに頼んだら……？」

　向かいに座るべジータの方を見たが、べジータは無言のまま、殺気にも似た険しい視線をトランクスに向けている。

　その視線の中には

（何を言ってやがる。ブラの頼みだぞ。つべこべ言わずに黙って聞いてやれ！）

　とでも言いたげな、娘への甘さが見てとれる。

（うっ……！）

　それを感じ取ると、トランクスはあからさまに肩を落とし

「……分かったよ」

　と、渋々、運転手兼荷物持ちという大役を承諾するのだった。