シャワーを浴び着替えを終えると、トランクスはべジータから受けた傷の跡を撫でながら、リビングへと向かっていた。

　容赦ない攻撃を繰り出す父の厳しさに参ってしまうが、息子の立場を考えてか、顔面を避けてくれているあたりに優しさを感じる。

　体を動かしたことで頭と身体はスッキリとしていた。
この爽快感は、普段の生活の中ではなかなか得られるものではない。

　ただ、心の方は何故かスッキリせず、何かが燻ぶっていた。

　その気持ちに蓋をしてリビングに入ると、ブルマを除いた３人がダイニングテーブルで朝食をとっていた。

　いつもはブルマが座る席に座っていたブラが、トランクスを見るなり

「おはよう、お兄ちゃん！」

　と声を掛けた。

　そのブラの声に、メディカは後ろを振り向き

「おはようございます」

　と、柔らかい笑みをトランクスへと向ける。

　その顔にドキリとしながら

「っ、おはようございます」

　と挨拶を返すと、メディカの隣の席に腰を下ろした。

　テーブルに並べられた料理を、トランクスの目の前に座るべジータは黙々と堪能している。

「コーヒーでいいですか？」

　隣からしたメディカの声に、トランクスは

「あっ、えぇ」

　と、少し上擦った声で答えると

「淹れてきますね」

　メディカはにこりと微笑むと席を立ち、キッチンへと入って行った。

その姿を見送りながら

「す、すいません」

　と声を掛け、視線を戻そうとした時、ニンマリと笑うブラの顔が目に入った。