読んでいた本を閉じ、窓の外を見ると、今日も真っ青な空がこの街を覆っている。

　空から降り注ぐ、陽の光に誘われるように

「散歩でもするか」

　私は独り言を呟くと、部屋を出て、この家が保有する広大な庭へと向かった。

　

　この家の庭は、私が想像する「金持ちの家の庭」というものを遥かに超えていて、もはやテーマパークを思わせた。

　何故なら、芝生に池、そして滑らかな石造りの四阿と森、それに遊園地まであるからだ。

　こんな家が街の中にあるなんて、おかしいだろ……！

　庭をのんびり歩きながら、一人ツッコんでると、何やらはしゃぐ声が聞こえてきた。

　進むにつれ、近くなるその声は、梨子とブラちゃんの声だった。

　更に進むと、二人が森の中にある四阿の前で、ボール遊びをしているのが、木々の隙間から見えた。

　そして、声が聞こえなかったので気付かなかったが、そこにはトランクスさんもいて、四阿の中にあるベンチに座っている。

　木の陰から、三人のようすを見ていた私は、ベンチに座るトランクスさんが、優しい笑みを湛えながら、その温かい眼差しを、ボール遊びをする二人……特に梨子の方に注いでいることに気付き、無意識に細い溜息を吐いていた。